『イニストラード:真紅の契り』ドラフト徹底解説 – アリーナオープンに向けて!

VOW環境概要と大まかな方針

コモンのクリーチャーは平凡なカードパワーである一方、レアのクリーチャーには1枚で盤面を制圧するような強力なものが多い。相手のボムレアに対処できるよう、除去の優先度は非常に高い。

今セットのカードは特定のアーキタイプで使うと非常に効果的だが、それ以外のデッキでは上手く働かないというようなデザインのカードも多い。それぞれのカードのシナジーを意識しながらピックしたい。

また、環境を定義付けているともいえる「血・トークン」は、潤滑材・フラッド防止の役割を持ち、非常に強力である。

総じて、コモンに優秀な除去を多く持ち、 「血・トークン」 を生成できる赤と黒が強力な色であると言える。

赤緑狼男、赤黒アグロ/ミッドレンジ、青黒コントロール、この3つが目指したい強力なアーキタイプだ。とは言え、他の色の組み合わせでも明らかに弱いというものはない。セオリー通り上家と協調し、空いているカラーを目指していくのがよい。二色のアンコモンサイクルは協調のためのよいシグナルとなる。

  1. 赤緑(狼男) / 赤黒(吸血鬼) / 青黒(濫用コントロール)
  2. 青白(飛行)/ 黒緑(高タフネス)
  3. 白黒(回復) / 赤白(二体攻撃、訓練)
  4. 青緑(墓地利用、多色)/ 赤青(スペル)/ 緑白(+1/+1カウンター、訓練)

各デッキとカードについて

赤緑(狼男)

マナカーブに合わせて展開し、優秀な火力とコンバットトリックで相手のクリーチャーを効率よく減らすことによって盤面の優位を築く戦略。《削剥》は大抵の4マナ域までのクリーチャーを打ち取りテンポを取ることができ、枚数はいくらあっても困らない、最優先に集めたいカード。《炎恵みの稲妻》は序盤の攻防で活躍するが、中盤以降は価値が下がるカード。3枚目以降のピックは点数を少し落とす。《肉体の裂傷》もゲーム中盤以降に活躍する強力な除去だが序盤は唱えることができないため、3枚目以降は少し点数を落としてよいだろう。コンバットトリックは《巨大な力》が頭一つ抜けていて、大きくなった狼男のチャンプブロックを許さないトランプルを付与する効果が強力。次点の《確実な一撃》は威迫持ちとの相性がよく、上手くいくと2:1交換を取れる可能性もあるカード。

クリーチャーで特筆すべきは《ファルケンラスの祝賀者》で非常に強力なカード。4/4威迫はフィニッシャーとなる性能で、ゲーム後半に供給される血・トークンも非常にありがたい。狼男ではないが複数枚デッキに入れたい強力なカードだ。

赤緑はレアにも強力なものが多いが、少し分かりにくいかもしれないのが《吠え群れの笛吹き》。ある程度狼と狼男をピックしておく必要があるものの、一級品のボムレアだ。《繫茂の狩り手》などを自身の能力で展開⇒そのまま夜にして追加のカードを補充、という流れで優位な盤面を作ることができる。 《繫茂の狩り手》 は単体でも強力なカードだが、 《吠え群れの笛吹き》 が取れている場合には優先的にピックしておきたい。

本線ではないが《うなる狼》は《群れ歌の子狼》と相性の良いカード。《うなる狼》は《棘付き縦鋸》とも相性がよく、マナの余った終盤以降に6/6サイズのクリーチャー相当の価値を持たすことができる。 《棘付き縦鋸》 は強さの割に安く流れてくるので、積極的に狙いたい戦略ではないが安く取れるとありがたいカード。

赤黒(吸血鬼)

赤と黒が空いていて自然と赤黒になったなら、特に意識せずとも豊富な除去の入った強力なデッキになっているだろう。アグロデッキからミッドレンジ、コントロール寄りでもなんでも組むことができる。《蝕むもの、トクスリル》《戦慄宴の悪魔》などの強力なレアが取れている場合、土地を7枚目まで伸ばす必要が生じるため、ロングゲームを見据えたデッキを構築する必要がある。

《血の催眠術師》と《ハネムーンの霊柩車》はアグロデッキで使う際には非常に強力なカード。ただしコントロールデッキで使うと弱い両極端なカードでもあるので、ピックする際はデッキの完成形を意識したい。

青黒(濫用コントロール)

赤が人気で参入できない場合は、青黒コントロールがオススメだ。カウンターと除去で対応力が高く、アグロデッキだと使いにくい《忌まわしき儀式》を強力に使えるのが利点。

《ランタンを携える者》はベストカードで、1ターン目に出して何回か殴った後は、気楽に濫用コストに充てることができる。《しつこい標本》も良いカードだが、2枚目は引きたくなく、ランタン2枚、標本1枚程度の塩梅を目指したい。

フィニッシャーは《残酷な目撃者》が強力。《腐浪のガルガンチュア》など適当なクリーチャーを《ランタンの持ち上げ》で飛ばしてもよい。コモンだけでデッキの骨格ができるのも青黒の魅力だ。

《戦墓の死体あさり》はコントールデッキ向けのカード。大型クリーチャーと相打ちを取りつつ、降霊呪文対策として墓地対策も嬉しいし、ダメージレースで差をつけるライフドレインもありがたい、いぶし銀の熊。

《中略》は不足しがちな2ターン目のアクション用としても優秀なカードだが、盤面で負けている時に重ねて引くとつらいため、2枚程度で充分な印象。《散らかった思考》はリソース補充に強力なカードで、《中略》との二段構えで使い勝手もよい。

《頭狙い》も安さの割に強力なカード。今環境は特に血・トークンで手札を回転させる都合、相手も手札を抱えている状況が多い。それでも手札破壊が不要な状況では、自分の血・トークンでルーティングすることも視野に入れよう。

レアカードで特筆すべきは《先見的な縫い師、ゲラルフ》で、非常に強力なクリーチャー。ゾンビが空を飛ぶだけでも充分だが、意識的にお尻でっかちをデッキに入れておくとより強力に運用できる。なお《眠れぬ求血者》と《大食の客人》はこの2枚で毎ターン血・トークンを生成できるお手軽コンボ。

《嵐追いのドレイク》は青黒ではほとんどシナジーを作れないものの、高級アジサシとして強力なカード。《寄生性掌握》《英雄の破滅》も言わずもがなで強い。《生物光の卵》は占術効果も強く、青黒にぴったりの強力なカード。《骨の髄まで》はアンコモンクラスの優秀な除去で、実際《英雄の破滅》と同じパックから出るとどちらを取るか迷ってしまう。

《髑髏スカーブ》《不吉なとげ刺し》は濫用デッキにぴったりのカードたち。

《悪戯な猫霊》は手間がかかるが、濫用した後にフライヤーに降霊してアドバンテージ源として再利用できるのが優秀。

《魂暗号の木盤》は青黒向けの長期戦のためのカード。長期戦のアドバンテージ源、フィニッシャーとして活躍できるが、複数枚は引きたくないためデッキに1枚で充分。

《排水路に潜むもの》は見た目よりも使いにくかったカード。フライヤーと一緒に攻撃してライフを詰めるといった運用はできず、濫用元にするにはコストが重め。《悪戯な猫霊》とは相性がよい。

《鋼纏いの霊》は青黒で使う分にはほぼ攻撃できない3/3の壁としての運用になる。アグロデッキに当たった際には重宝するが、他のデッキに当たった際には活躍が見込めず、積極的に採用したいとは言えないカード。最悪濫用に充てることができるため、2マナ域が手薄なときに検討したい。

《悲惨な群れ》はテンポが悪く、若干使いにくいカード。濫用元は1マナのクリーチャーや《悪運尽きた造反者》《生物光の卵》などテンポ損しないカードのほうが嬉しい。デッキの中に価値の低い2/2/1をたくさん入れなければならないという制約もつらい。

《セルホフの埋葬者》はかなり弱く、青黒の場合は事実上アンプレイアブルなカード。ただし《奉仕への切望》がピックできている場合にはディスカードシナジーを絡めて仕事をしうる。

青白(飛行)

赤と黒が人気で上位ティアーのデッキに入れない場合、逃げ道としてオススメなのが青白飛行デッキ。降霊やスピリット、エンチャントを絡めたシナジーを推されているが、基本的にはフライヤーを並べてダメージレースを制する普通の戦略が軸となる。変にエンチャントや地上クリーチャーを増やすと中途半端になって勝率が落ちるため注意が必要。《残酷な目撃者》が優先されるものの、《希望の鷺》もかなり強力なカードで、重ねることでもシナジーがあり優秀。

《安全の揺り籠》は非常に優秀でデッキに1~2枚は欲しいカード。飛行クリーチャーを除去から守る動きが強いのは当然ながら、+1/+1修正でタフネスを4以上にすることで、その後の制空権を得ることができる。状況に応じてコンバットトリックとしても使える。

《拘束の霊》は地上クリーチャーの相打ちを取りつつ時間稼ぎにもなるナイスカード。優位な状況では殴りにもいける。

《塩水漁り》は非常に強力なカード。基本的には優秀なチャンプブロック要員。適当なタイミングで墓地に落とした後に降霊でフライヤーを生成する動きが、青白飛行の戦略と噛み合っていて強力。ただしこのカードにエンチャントをたくさんつけて最大限活用しようとするとデッキがかなり歪んでしまう。あくまでチャンプや濫用で墓地に落とした後に、《ドラグスコルの歩兵》や《慈愛の祖霊》など自然にデッキに入る降霊カードと組み合わせる程度で充分。

《放光の恵み》は基本的にアンプレイアブル。《レジスタンス部隊》は強力な効果だが、強い人間が少ないため青白だと少し使いにくいカード。

レアも強力なカードが多い。

神話レアの《神聖なる憑依》は非常に強力なカード。BO1環境ではエンチャントに触られることがほぼないため、特に強力。このカードが取れた場合のみエンチャント/スピリットに寄せることを検討する。

黒緑(高タフネス)

ここまで紹介した4つのデッキに比べて、それ以外のデッキは軸になるカードがアンコモンであったり、代用の効かない特定のカードが戦略として必要になるため、再現性が少し落ちるアーキタイプだ。そのためプレミアドラフトで安定した勝率を出すことを目標にすると、一段階落ちる評価となる。ただし、黒緑に限っては軸となるアンコモン2種が特段に強力なため、例外的にワンランク上の評価とする。

《古きもつれ樹》《カタパルトの有象無象》の2種は非常に強力。《古きもつれ樹》を1パック目の遅い順番でピックできた(=卓に黒緑を狙っているプレイヤーが他にいない)、かつ、黒緑の流れがある程度よい場合には、黒緑への参入を検討してよい。

デッキの強さが《古きもつれ樹》を何枚ピックできたかに依存してしまうのが問題だが、周りを安いコモンカードで構成できるため、参入が遅くてもそれなりに形にしやすいのが利点。もちろん《骨の髄まで》などの除去もピックできれば申し分ない。

白黒(回復) / 赤白(二体攻撃、訓練)

この組み合わせに敢えて入る場合は、白の強力なアンコモン以上のカードをピック出来ているだろう。積極的に入りたい色ではないが、参入する理由があれば入ってもよいカラーだ。

特筆することはないが《マルコフの円舞手》《マルコフの浄化師》は強力なカード。

青緑(墓地利用、多色)

青緑は墓地シナジーを活用して優位を築くデッキだが、デッキの根幹となる《堕落産みの蜘蛛》《隠遁した剥製師》《這いまわる胞子》《狼の一撃》の4種類をある程度ピックできないとなかなか強いデッキにならない印象。カラー的にどうしても除去が薄くなるため、《中略》などのカウンターを少し入れてごまかすしかない。

墓地を肥しながら、《残酷な目撃者》や《ランタンの持ち上げ》で飛ばした《黴墓のヤスデ》で勝とう。

青緑もあえて参入するなら、何かしらの理由がほしいところ。

《隠遁した剥製師》《花の織り手》《予言の像》などを絡めてある程度多色化が容易なアーキタイプである。そのため除去だけ少し足すといった構築も可能である。ただし《黴墓のヤスデ》などを強く運用するためにはクリーチャーの数が重要となり、呪文を入れすぎても問題となるのでバランスには注意が必要。

赤青(スペル)

線が細くてあまりオススメしない組み合わせ。

《ケッシグの炎吹き》は非常に強力なコモンで、1マナのクリーチャーに《祖先の怒り》を連打する速攻デッキはかなり有望なデッキであるが、コモンとはいえ同種のカードを大量に集める必要があり、再現性に少し劣るのが難点。

緑白(+1/+1カウンター、訓練)

いまいち冴えない色の組み合わせ。

訓練を持っているクリーチャーは素のスタッツが低く、弱めの性能のものが多い。緑白には基本的には参入したくないが、高レアリティのカードを複数枚ピックできて、流れがいい場合には検討する。

《シガルダの拘禁》は通常のリミテッドだと血・トークンを生成できる《平和な心》相当のカードとして高得点であっただろうが、今環境では評価をかなり下げるカードだ。今弾では《結ばれた者、ハラナとアレイナ》を筆頭とした強力なシステムクリーチャーが多いため、肝心なクリーチャーを対処できずもどかしい思いをする。また、濫用の絶好の餌となるのもマイナス評価だ。

今週末(日本時間2021年12月4日土曜日夜)にはMTGアリーナ初のドラフトフォーマットでおこなわれるアリーナオープンが開催されるので、腕に覚えのある人はぜひ参加してみよう!

日曜日はリアルのイベントで「ストアチャンピオンシップ」も開催!《ワームとぐろエンジン》など超豪華プロモをゲットできるチャンスなので、ぜひご参加ください! 大会日程はこちら>>

おすすめ